alraune: 犬の餌
犬の考え休むに似たり
aln2.002

2004-02-23-Monday

犬の餌

最近感想書いてない本が溜まってきたのでボチボチ・・・


かくれた次元


学校の図書館の返却棚に置いてあったのを、なんとなく惹かれて借りました。
本をあまり読まずに生きてきた俺にとって、返却棚っていうのは
他の人が選んだ本一覧、言わば「みんなのオススメ」的役割をしてくれます。
もちろんハズレもあるけど当たる確率の方が高いわけで。
この本はそんな当たり本の中での一冊。

1970年初版の古い本でエドワード・ホールの「沈黙のことば」に続く二冊目の本。
人間及び動物の非言語的コミュニケーションを主体に扱っています。
生き物にとって「距離」はどんな意味を持つのか、
無意識の動作などに隠された真意等が丁寧に書かれています。
この本を読めば、人と人とのコミュニケーションで
いかに空間が重要であるかが十分に理解できることでしょう。
この本はさらに文化ごとの空間の扱い方(プロクセミックス)の違いについて、
具体的な例をあげて解説しているのでとても面白いです。
例えば、ある部屋のドアの外から友人が首だけ突っ込んでこちらに話し掛けている状態を想像して下さい。
アメリカではこの状態では友人はまだ部屋に侵入していないとされます。
しかしドイツの場合では完全にこの友人は部屋に侵入しているとみなされるのです。
ドイツではこの友人は部屋の持ち主の領域を侵害している事になります。
こういった文化的な違いを認識していないと他人の気持ちを正確に理解するのは困難でしょう。
なにも外国人を相手にする時だけにこの本は役に立つというわけではありません。
日本人の空間の捕らえ方を理解しておけば、今以上に他人を理解することが出来るようになるはずです。
私たちは自分の文化の尺度で他の文化の人間を量ってしまいがちです。
これから国際化が進む中で、そういった"狭い視点"は排除されるべきではないでしょうか。
皆さんが広い視点で物を考えられるようになる為に、是非とも薦めしたい本です。
この本は万人に対して薦める事ができます。

俺が心理学について調べるに当たり、
この本に最初に出会えた事はまったくの幸運であったと思います。

投稿者 kerberos : 11:59 PM | トラックバック
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